バックパッカーズバイブル: ~世界を旅する前に読んでおきたい52の話~ (ジュタカ出版) Kindle版

【世界の旅詩】天空の鏡

揺らめくウユニの水は風に吹かれてゆっくりと流れている。
ここが3700メートルだとは思えない。
海に浮いているような錯覚を覚える。
靄がかった水平線は月の明かりに照らされて微かに見える。
もはや空と湖が見分けられない。
霞む水辺の上には流星群が輝き、
時折一縷の流れ星が去り行く。
新月は風に流れる鏡張りの水に写し出されている。
2つの輝く星も水辺に写っているが月の光がそれを、邪魔する。
暗闇にフラミンゴの群れが羽ばたき
何処かへ飛び立ち消えていった。
光と影が織り成す万華鏡。
神秘と幻想が恋をして天空の鏡に愛を写しだす。
そして、旅の道連れに一眼レフを持ってこなかったことをまた後悔する。
ここが地球だとふと思い出す。
どこかの水の惑星に不時着したような錯覚を覚えた。
頬を吹く風唄が永久を奏でる。
ipotから聴こえてくる「to you」に耳を澄ませば、
久遠の湖に輝く一羽のフラミンゴが月の明かりに照らされて
微かに気味悪く羽ばたいていた。

2014
「天空の鏡」
©Jutaka
Photo by Makoto.Y







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JUTAKAノマドワーカー
約10年間の海外勤務を経て、海外・国内ノマドワーカーとして独立しました。日本をベースにタイ、カンボジア、ベトナム、インドネシア、フィリピンを拠点に活動しています。