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社会人からの学び直しをしたいと考える方へ(大学・夜間・専門学校・通信などで)現状や問題点について考察してみました【リカレント教育とは何か】

学べば学ぶほど、自分が何も知らなかった事に気づく、
気づけば気づくほどまた学びたくなる。

アルベルト・アインシュタイン 理論物理学者

 

こんばんは。

お仕事をしている方の中には大学や専門学校などで学び直しをしたいと考える人は多いと思います。

大学を卒業後暫く新卒で入った会社で働いていたんだけど、
実際にはこんなことやあんなことを勉強してみたい、やっぱりあんな仕事をしてみたいとか
色々と社会へ出てから考えると思います。

実は私も社会へ出てから数年後に社会人向けのIT系専門学校に行ったことがあります。
それは20代後半の時にそれまでずっと心の片隅にあった仕事をやってみようと思ったことがきっかけでした。

人それぞれに学校へ行き直し勉強したい理由はあるかと思います。
例えば以下のような理由とか。

学び直したい理由を挙げてみた

  • 高卒と大卒による給料の違いに気づいた(高卒と大学院卒の生涯所得は6千万~7千万の差があるといわれている)
  • 金銭的な理由や諸事情により大学進学を断念したことがある(ずっと引っかかってきた)
  • 一度過去に大学を卒業したが新しく大学で学びたいことが見つかった
  • 過去に大学で学びたい分野を学べなかった(学力的な問題など)
  • 新しい仕事に就くためのスキルを学びたい(転職するため、職業として)
  • 現在の仕事に活かせる学術を学ぶ(会社内でのスキルアップや部署異動のため)

などこれら様々な理由があるかと思います。

そして、実際のところはどうなのでしょうか。

世論調査では以下のような回答があるようです。

社会人の学び直しについて
<学び直したいと考えた理由>

51.8%・・・教養を深めるため
48.8%・・・今後の人生を有意義にするため
28.4%・・・就職や転職のために必要性を感じたため
25.1%・・・現在または学んだ当時に就いていた職業で必要性を感じたため
21.2%・・・他の人との親睦を深めたり、友人を得たりするため

参照:2015年度教育・生涯学習に関する世論調査から 内閣府

このような結果になっている様子。

転職やスキルアップというよりかはもっと大きな教養や人生のためという意見が

圧倒的に多いよう。

さらには一度社会人となった後に、学校で学んだことがあるかというものについては・・・

<社会人となった後に、学校で学んだことがあるか>

46.1%・・・学んだことはなく今後も学びたいとは思わない
30.3%・・・学んだことはないが今後は学んでみたい
19.1%・・・学んだことがある(現在学んでいる)
2.4%・・・わからない
2.1%・・・社会人となった経験がなく在学中である

参照元:2015年度教育・生涯学習に関する世論調査から 内閣府

学びたい派と学びたくない派は半々と行ったところのようです。

もっと少ないのかと思いましたが実際には半数の人は学びことに意欲を持っているという実態があるようですね。

 

リカレント教育とは何か??

最近リカレント教育という言葉よく聞きますが、
今までよくわからないままできたのでここで調べてみました。

義務教育または基礎教育の修了後,生涯にわたって教育と他の諸活動(労働,余暇など)を交互に行なう教育システム。
スウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンの提唱した概念で,1970年経済協力開発機構 OECDの教育政策会議で取り上げられ,研究が進められている。
スウェーデンやフランスの有給教育制度,アメリカ合衆国のコミュニティ・スクール,日本の夜間制社会人大学院,放送大学などがその例である。
青少年の社会参加を早め,過重な教育負担や教育内容の世代間較差を解消するなどの効果が期待される。
しかし,生涯のどの段階にどのような教育を配置するか,労働などを中断して教育に参加する条件をどう確保するか,教育経費の増大にどう対応するかなど,具体化への課題は多い。

参照元:ブリタニカ国際大百科事典

 

リカレント教育とは、主に学校教育を終えた後の社会人が大学等の教育機関を利用した教育のことを指す。
生涯教育を受けて発展した概念であり、職業能力向上となるより高度な知識や技術、生活上の教養や豊かさのために必要な教育を生涯に渡って繰り返し学習することを意味する。
これには、仕事に就きながら必要な知識や技能を習得する教育訓練を行うOJT、仕事を一時的に離れて行う教育訓練(OFFJT)も包含されている。

リカレント教育論の概念は、スウェーデンの当時文相だったオロフ・パルメが1969年の第6回ヨーロッパ文相会議において取上げ、翌1970年に経済協力開発機構(OECD)が公式に採用して、1973年「リカレント教育 -生涯学習のための戦略-」報告書が公表されたことで国際的に広く認知された。報告書では、青少年期という人生の初期にのみ集中していた教育政策を個人の全生涯にわたって労働、余暇、その他の活動と交互に行うこととする。この教育改革を「血液が人体を循環するように、個人の全生涯にわたって循環させよう」と表現した。

参照元:リカレント教育「生涯教育」Wikipedia

簡単に述べると、
これは学校を終えた社会人が社会に出てもなお、一生涯に渡って仕事と教育(学校)を繰り返し学び続けることを意味します。

まさに学び直しというのはこのリカレント教育に他ならないものだったということです。

スウェーデンで提唱されたのち、経済協力開発機構(OECD)で公になったのが1973年のこと。

だいぶ前からある政策のようですね。

そして欧米と日本ではその実態は大きく異なるようです。

日本と欧米諸国の生涯教育の違い

リカレント教育の取り組みとして欧米は日本よりも取り組みやすい状況にあるようです。
欧米の労働市場では流動性が高く、キャリアアップのために社会人後に教育をやり直す制度が
確立しているということ。
具体例としては、スウェーデン、フランス、イタリア、ベルギーなどの有給教育制度、
アメリカのコミュニティカレッジなどがそれになります。

逆に日本は長期雇用の慣行があるためになかなかキャリアを中断させて
教育をし直すというのが難しいということです。
そのため企業に属しながら通い、学んでいくというスタイルがメジャーなようですね。

参照元:「リカレント教育」とは?生涯学習の重要性を徹底解説 | BizHint HR(人事の悩みにヒントを届けるニュースサイト)

下のOECDのデータがそれを物語っています。

2014年のデータによると、日本の大学の生うちの25歳以上の学士課程への入学者の割合は2.5%らしいのです。
これは25ヵ国中2番目に低い
ということです。

<25歳以上の学士課程への入学者の割合>

33.4% イスラエル
29.9% アイスランド
26.2% ニュージーランド
25.4% スウェーデン
23.8% デンマーク
~~~~~~~~~~
4.5% オランダ
2.5% 日本
1.7% ベルギー

(参照元:朝日新聞 経済協力開発機構(OECD)2014年)

日本のリカレント教育は世界的にみていかにまだまだかということでしょう。

それと同時にこれからもっともっと社会人を対象にしたリカレント教育そのものが伸びていく可能性もあるということです。

働き方が多様化しているからこそ見直すべきものでしょう。

社会人になってから学び直すメリット

社会へ出てから学び直すことのメリットは何でしょうか?

それは、一度仕事を通じて社会への視野が広がっているため、

18歳で入学するよりも勉強意欲が高い状態にあるところにあるのではないでしょうか

明確な目的意識を持ち合わせた中で学ぶことができます。

個人的にはこれこそがリカレント教育の一番の大事なことではないかと思います。

実際に企業で働いてみるうちに自分に向いている仕事などがなんとなく感覚的にわかってくるというケースもあります。

冒頭で私も以前社会人になってから数年経った後にIT関連の半年間の専門学校に入りなおしたことはお話しましたが、そこは大学というよりは短期の社会人でも働きながら通えるような専門学校に近い学校でした。

もちろんどっちつかずにするのが嫌という理由で一本でやられている方々もいました。

私はそれまでにいくつかの仕事を経験してきていたということもあり、自分が学びたい分野も明確に分かっていました。

明らかに自分の勉強に対する意欲が高いのが実感できたと思います。

また、そこで出会った方々も様々な方が多く現場で働きながら新しいスキルを学ぶために通われている40代、50代の方々に沢山出会い刺激をもらうきっかけになりました。

転職のきっかけになりましたし、おそらく社会に出てからでなければ、見えてこないことや学びたいと思えることも絶対にあると思います。

  • 勉強意欲が高い状態にある
  • 明確な目的意識を持ち合わせた中で学ぶことができる
  • 沢山出会い刺激をもらうきっかけになる
  • 業界における人脈などができる
  • ゼロから新しいキャリアをスタートできる

 

学び直すことの問題点

社会人になってから学校へ戻って学び直すには以下の3つの問題点があります。

  • 時間がとれない・・・長時間労働で働いている場合通うのは大変難しい。
  • 費用が高い・・・単純に学費が高い。学費の支払い計画が難しいなど。
  • 行き先・・・学校や大学の行き先。夜間の大学の閉鎖が相次いでいる。
  • 自分に合った教育がない・・・根本的な問題。
  • 家族の理解が得られない・・・収入面が大きく問題になる可能性がある。
  • 会社との兼ね合い・・・働きながら大学に行ける制度があるかどうかという問題。

これらの問題点が挙げられます。

休職して勉強することは認められているかどうかなど)会社にこういう制度がない場合はやめて大学に行くしかないです。

また、認められていたとしても業務との関係性がない場合は難しいという場合もあるといいます。

日本社会は終身雇用が大前提にあるため一度就職した後に、再度大学に行ったりすることが難しい状況にあります。

また、就職してからのスキルアップが難しいです。

企業側や大学側ではどう思っているのか

企業側はあまり積極的ではなく、文科省が1229社に調査した内容によると従業員の大学などでの学びことを認めているのは

たった約2割で、あとの68%は特に認めていないそうです

つまり1割は原則完全に認めていないということだね。

その理由の約半数以上が「本業に支障が出るから」ということです。

また、大学側も年齢制限などを設け一定の条件を課してもいるそうです。

それは社会人は時間の融通が難しく指導が大変であり中退するリスクもあるためとのこと。

<大学などでの学びを認めない会社の理由>

56.6%・・・本業に支障をきたすため
24.3%・・・現在の業務に生かせないため
14.7%・・・人件費抑制のため

<学び直す際の主な障害要因>

37.7%・・・費用が高すぎる
22.5%・・・勤務時間が長くて十分な時間がない
11.1%・・・受講場所が遠い(通えない)
11.1%・・・自分に合った教育課程がない

(参照元:朝日新聞 社会人の大学等における学び直しの実態把握に関する調査研究:文部科学省 2015年度)

 

実際には具体的にどういう選択があるか

  • 大学に入学し直すために予備校に通う(毎週末の土日を利用する)
  • 通信制に通う(ゼミで議論や教授とのやり取りが通学に比べると低い傾向)
  • 大学の夜間部に通う(閉鎖が相次いでいる模様です。05114校→1471校)
  • 短期の専門学校に通う
  • 大学の社会人向け短期講座(例、リバティアカデミー(明治大学)、エクステンションセンター(早稲田大学))職業実践力教育を行っている

学ぶ側の選択肢にはこのような選択肢があります。

25歳以上で大学に通学している人は2万8千人いるといわれているそうです。

リカレント教育がさらに伸びるためには

ここは個人的な見解ですが、

今以上にリカレント教育が日本で伸びていくには以下のような政策が必要だと思います。

  1. 金銭面で後押しする制度
  2. 受講費用に給付金制度をつくる
  3. 国の給付型奨学金を高校卒業から2年ではなく20年にする等
  4. 企業が社員の学び直しに前向きになる
  5. 大学を低額で入学可能にする

これらがクリアできることでより社会へ出てから

学校へ戻れ学べる人が増えてくるのではと思います。

 

最後に(個人的な意見)

実際に高校卒業時点(18歳)で将来の就きたい仕事まで想定できていて、見えている人なんて少ないでしょう。

実際に私がそうでしたし。

それにもかかわらず、少ない選択肢や価値基準の中で18歳の方々は大学入学時には学部や学科を選び進路を選ばねばいけません。

それで生涯の仕事を決定してしまう・・・。

でも社会へ出てから視野が広がり気づけることって本当に沢山ある。

だからこそこういったリカレント教育がもっともっと伸びていけば、キャリアにおけるやり直しがきくことになります

日本の人材育成にも変化があるのではないでしょうか。

 

参考文献『朝日新聞 教育考差点 学び直したいけど 2017101日(日)』







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JUTAKAノマドワーカー
約10年間の海外勤務を経て、海外・国内ノマドワーカーとして独立しました。日本をベースにタイ、カンボジア、ベトナム、インドネシア、フィリピンを拠点に活動しています。